組立て直して再利用   櫓・御殿

 天守閣には、現存12城の他に復元、復興、模擬があることを前章で説明しましたが、大きな建物ですので他の場所への移築は全くありません。

 

 櫓や門や御殿などの天守閣以外の建物も、城郭内に現存するものがありますが、それ以外に他の場所へ移築されて再利用されているケースが多いですし、他の場所へ移築されていたものが再び城郭内へ移築復元されているものもあります。また、台風や地震等の災害によって倒壊した建物の部材を再利用して復元したものもあります。

 

    昔は、建物を建築する際には木材など資材確保が大変だったこともありますが、建物は現代とは違って木材同志の組込みや木釘で接合されていたので、簡単に解体分解することができて再組立ても簡単であったようです。

 

    それでは、再利用されているお城の建物が、どんなものに使われているかをご紹介します。なお、伝説も含めて再利用されているお城の建物の中で、非常に多いのが伏見城の遺構です。これについては、「伏見城のモノがあちらこちらに」で紹介します。

再利用されている建物

(1)櫓

 櫓は、門や御殿に比べて利用価値が少ないことと構造が複雑だったからか、再利用されているケースは少ないです。その為か、違う場所で再利用されている姿を見るとワクワク感が募ります。

お城の建物 再利用先

遺構と遺構先(例)

<私が訪問した櫓だけで、約20箇所ありました>

  櫓  ①寺院の本堂や鐘楼や神社内 会津若松城御三階櫓、笠間城八幡台櫓、園部陣屋太鼓櫓、柏原陣屋太鼓櫓
②会館などの施設や公園内のモニュメント 高崎城乾櫓、田中城本丸櫓、膳所城本丸二重櫓
③民家の建物、蔵や納屋

白河小峰城二の丸太鼓櫓、犬山城付櫓、菰野陣屋隅櫓、高槻城二の丸隅櫓、

高取城火薬櫓、日出城鬼門櫓(現在は城内へ再移築)

①寺院の本堂や鐘楼、神社内

 

 クリックすると、城名と櫓名、現在移築先のお寺名や神社名とその住所がわかります。


②会館などの施設や公園内のモニュメント

 

 クリックすると、城名と櫓名、現在移築先の施設名や公園名とその住所がわかります。


③民家の建物

 

 クリックすると、城名と櫓名、現在移築先の民家とその場所がわかります。


(2)御殿

 御殿を構成している建物群は多いので、その一部を移築している場合が多いです。また、移築伝説の御殿もあり、本当にその御殿が移築されたか疑わしいものもありますが、一応こちらでは伝説のものも含めて紹介したいと思います。また、移築に際しては、だいぶ手を加えて修築したものも多いようです。

 伏見城から移築された御殿は、全国的にありますが、これについては「伏見城のモノがあちらこちらに」で詳細を記載します。

 

お城の建物 再利用先

遺構と遺構先(例)

<私が訪問しただけで御殿、約80箇所ありました>

  御殿     

①寺院の本堂や大広間

 久保田城一条院書院、福井城本丸御殿小座敷、長島城奥書院、亀山城二の丸御殿玄関・式台、菰野陣屋書院一部、山形城書院一部、佐賀城御殿玄関ほか

②寺院の書院や客殿、庫裏や方丈

 高崎城書院、相良陣屋御殿、横須賀城書院、勝山陣屋書院と玄関、清末陣屋書院と玄関、江戸城紅葉山別殿客殿と書院
③神社内の施設  岩崎陣屋玄関、洲本城金天閣、柳本陣屋表向御殿、柳本陣屋表向御殿
④公民館や学校施設内  七日市陣屋御殿、小島陣屋御殿、新谷陣屋御殿
⑤公園や史料館・博物館

 紀州藩岩出御殿数寄屋風御殿、三池陣屋玄関、二条城楼閣、須坂陣屋玄関、

松前城本丸御殿玄関、越前大野城藩主隠居所ほか

⑥その他(民家や行政施設など)

 伊勢崎陣屋書院、勝山城御殿

①寺院の本堂や大広間

 

 クリックすると、城名と御殿名、現在移築先のお寺名とその住所がわかります。


②寺院の書院や客殿、庫裏や方丈

 

 クリックすると、城名と御殿名、現在移築先のお寺名とその住所がわかります。


③神社内の施設

 

 クリックすると、城名と御殿名、現在移築先の神社名とその住所がわかります。


④公民館や学校敷地内

 

 クリックすると、城名と御殿名、現在移築先の施設名とその住所がわかります。


⑤公園内や史料館・博物館

 

 クリックすると、城名と御殿名、現在移築先の公園や館名とその住所がわかります。


⑥その他(民家、行政の施設など)

 

 クリックすると、城名と御殿名、現在移築先の施設名とその場所がわかります。